シグマという、あまりメジャーでない、カメラメーカがあります
だがしかし、知る人は知っています。
会津市に置いた工場で、プロユースの高性能レンズを一貫生産しているメーカーです。
そのシグマが作っている、ちょっと変わった、しかし、唯一無二の存在感のあるカメラ、シグマDP-0クワトロを、さんざん躊躇しつつも買ってしまった話です。
届いて開けて、実際に撮影して、感じたことを、欠点も含めてレポートします。
超広角レンズなのに周辺部が歪まない、という今までにない特性により、このカメラを使いこなすには、ある種の覚悟が要る。と感じました。
つまり、新しい写真を撮るのだ。という心構え、と言いますか、まあ写真は常に新しく撮るのですが、詳しくは本文をお読み下さい。
満を持して遂に出た、DPシリーズの総仕上げ、シグマDP-0クアトロを買っとかなくていいのか?。
このシグマdp−0を買う前、私は、シグマのカメラを二台持っていました。
シグマdp−1 と、シグマdp−2メリルの二台です。
この二台のカメラは、今までのデジタルカメラのセンサーの常識を覆す、驚異的な描写力をもつデジタルカメラで、スピードのあるものや、暗いものは、苦手であるものの、何気なく撮った一枚の写真の隅々まで、時には撮った本人さえ気づかなかった細部を再現するという、一旦その魅力に惚れ込んだら、後戻り出来なくなる悪女のような恐ろしいカメラです。
そのシグマが、超広角レンズを一本だけつけた、DPシリーズの総仕上げともいえるDP−0クアトロを発売したのです。
しかもただでさえ特異なデザインのDPクアトロシリーズに、まるで望遠レンズのような長玉のついたもう完全にいってる外観。
このカメラは、絶対に買わないといけないカメラだ、いや買わないのはむしろ(シグマという誠実なる企業に対して失礼ですらある。)と、ずっと思っていました。
しかし、このカメラには今どきのあの機能がついていないが?
しかしこのカメラ、今どきのデジタルカメラ世界において、いや、スマホのカメラも含めて、以下の驚くべき、機能省略特性をもっているのです。
- ズーム機能なし。
- フラッシュなし。
- 手ブレ補正なし。
なぜ?実はそれには理由があるのです。
ズーム機能があることで、レンズを動かさねばいけません。しかし、動く、ということは、レンズにわずかな、ブレを生じさせます。厳密に調節したレンズそのままの性能を発揮させるには、がっちり固定されていたほうがいいのです。
ですから、固定の、ズームなし、単焦点レンズなのです。
そのためにシグマは、焦点距離の異なるレンズごとに、4種類のdp−クアトロシリーズを発売しています。
つまり、余計なものは最初からつけない。フラッシュも、手ブレ補正も、この思想で、ついていません。
そして、そこが魅力なのです。
考えてみると、今買わないといつ製造中止になってもおかしくないカメラなのでは、と不安になりだす。
そんな訳で、ずっと欲しかったDPー0クアトロなのですが、ある時、天啓のような、お言葉が天から降って来ました。
「今買わないと、そのうちなくなるかもしれんど!」
おう、そうだ、いくらシグマさんが誠実だとはいえ、こんな高性能のレンズをつけ、高性能のセンサーをつけたカメラを赤字同様?でいつまでも、未来永劫にわたって、販売できるわけがない。
そのうち販売中止になるかも。
と、不安になりだしました。
と、なると気持ちはもう、購入にどんどん傾いていきます。
オークションで、
「誰かに買われてなくなってしまうかも。」
とか、
「コロナでトイレットペーパーがなくなるかも。」
といった、かも心理、ですね。
とうとう買うことに決めて値段を調べ始めて、決定。
で、あっという間に、堰を切ったように、(笑)
アマゾン、楽天、メルカリ、ヤフオク、カメラのキタムラ、ヨドバシカメラと、値段を調べまくり始めました。
アマゾンが一番安かったですね。
送料無料で、8万円台です。
次が、楽天。
キタムラは高い。ヨドバシカメラも高めですが、ビューファインダーキットになるとなぜかとても安いです。
ヤフオクは、いいものはまったく出ていません。カメラショップがとりあえず出してる。という感じ。
最後、メルカリで個人出品の、ビューファインダーキットが6万3千円でありました。
使用感もあまりなく、充電器や、予備バッテリーもちゃんとついています。
新品を買いたいところですが、これにしとこうか?
しばらく悩みましたが、やはりこれに決めました。
本当は、シグマさんに敬意を表して、新品を買うつもりだったのですが、(本当です。)
やはり、超広角レンズという、趣味性の強いカメラ。プロカメラマンでもないので、仕事に使うという、言い訳もできません。
のでやはり、ちょっと値段は抑えたい。
(すみませんシグマさん。次回はDPー3クアトロを新品で買います。)
調べて気づいたのは、カメラ本体と、後ろに付けて、モニター画面を拡大できるビューファインダーは、別々に買うと、ずいぶんお高い、という点です。
ビューファインダーつきがいいのなら、最初からキットで買うのがお得です。
ビューファインダーだけで、2万2千ちょい、カメラ本体で、9万前後で、合計11万越えですが、(2021年1月現在)
キットだと、一番安いアマゾンで、9万4千ちょいと、なんと別々に買うより1万5千円ほども安いのです。
ヨドバシカメラにいたっては、カメラが10万ちょいですが、キットでも10万ちょい、とほぼ同じ。
(正確には3,330円の差でした。)
さて、メルカリで支払いも済ませて、あとは届くのを待つだけです。
届いた!なかなか箱かっこいいじゃないか。
ああ、とうとう買ってしまいました・・・・・・
届くのが楽しみでもあり、果たして自分の手に負えるカメラなのか、と、不安も感じつつ。
待つこと数日・・・・・
届きました!
フィルター、フード、スペアバッテリー、写っていませんが、充電器が入っていました。
説明書なしです。まあ、ネットからpdfをダウンロードするからいいです。
箱もシンプルでいいですね。macみたい。
フラッシュはなし。付けたかったら自分でつけろ、と。もちろんズーム機能もなし。
ビューファインダーマウント部分はカメラにネジ止め。
ビューファインダーはマウント部をネジで固定しておけば、スライドして、自由に取り外せます。
マウント部かっこいい!
ここは惜しいなあ。せっかくのいいカメラが台無しだ。
惜しいのは、このゴムのSDカード入れの蓋。なんでこんな安っぽいのにしたんだろう?
なぜにゴム?と聞いてみたいです。
あと、マニュアルでピント合わせするとき、鏡胴部のリングを回して合わせるのですが、ギザギザが(ローレット加工が)浅くて、つかみにくくて、ホールド感がなく、つるつるするのは最低ですね。
このあとレポートする、実際の撮影のとき、雪だったのですが、手がかじかんで回しにくかったです。
もちろん素手で。手袋は無理ですね。
しょっちゅうマニュアルでピントを合わせるカメラだし、あらゆる環境で撮影するケースを考えると、ここはしごく残念。
かっこよりも実用ですよ。もっとつかみやすい加工にしてほしかったです。
マニュアルピントモードはGood!
で、マニュアルピントモード。
右のFOCUSを押すと、すぐにオートと切り替えられて、中央ボタンを押すと、ピントが拡大されます。これは便利。
そして、シグマ伝統のQSボタンも健在。よく使うものを登録しておけるので、これも便利。
私は、ASA調節によく使います。
シグマの操作ボタン系は、いじっているうちにすぐわかってくるので、ユーザーフレンドリーで良いです。
ディスプレイは水平器付きで、これもGood!
ディスプレイには水平器と、上下の傾きゲージが付いていて、これもいいです。
水平になると、グリーンになって、OKです。戦闘機のロックオンみたいですね。
ついでにグリーンになったら、自動でシャッターが切れたらすごいですね。
もしかして、そいうモード付いてるかも?すみません、まだマニュアルダウンロードしてないので、ワカリマセン。
うん。これは楽しい。
持つ喜びがあります。それに、思ったより軽い。これならディパックに入れて山とかにも持って行けそうです。
ちょうど初雪が降ったので撮影に行ってきます!
さてさて、では撮影してみます。
なんと、折よく初雪が降りましたので、散歩がてら撮影に行ってきます。
近所の神社に着きました。ちょっと朝出遅れたので、先を越されたです。
しかし、ブログ用に画質を落としてこの描写力。
そして評判どおり、超広角レンズなのに周辺部の歪曲がありません。
上へ、上へ。
この古いくすの木がすごいんですよ。
きれいだな。
細密画のようです。
南天の実の色も、実に素直に撮れています。
最後に私の一番好きなくすの木。
あいかわらず良いお姿です。
撮影終了!
(画像はブログ用にかなりサイズダウンしています。シグマの現像ソフトSPP、シグマフォトプロで、jpeg最高品質で出したときは約40MB。圧縮ソフトを使って約8MB。さらにブログ用に約400KBとかなり下げています。ご了承下さい。)
撮ってみて感想。残念ながらビューファインダーは期待はずれ。
これはおもしろいです。
撮っているときは相変わらず半信半疑な気持ちですが、現像してみると、予想外に細密で、自分の腕が上がったような気にさせてくれます。
しかしながら、相変わらず、撮ったあとの処理スピードはおそいです。(もちろん、前よりは早くなってますが)
それからビューファインダーは期待していたほど、きれいに見える訳ではなかった。
てゆうか、モニターディスプレイそのものが、画質が悪い。(もちろん前よりはまし)
なので、その悪い画像をビューファインダーで拡大しても、ディスプレイのあらが、よくわかるだけで、特段にピントがきれいに見える訳ではないです。
まあしかし、つけたたほうが、撮影に集中できるし、太陽光の下ではよく見えるので、買っていいのではないか、という感じ。
でも値段的に単体だと結構するので、あとから、ビューファインダーだけ買う程のものではないと思います。
そして、電池は、前のシリーズよりも厚みをまして、容量も増えたのでしょうが、やはり、すぐ減ります。予備は必携です。
山とかなら、予備もう1個くらいか、充電器とモバイルバッテリーを持って行くでしょう。あ、あと、ROW撮影するとデーターを取り込みまくりますのでSDカードの予備も。
撮影後の処理時間はだいぶ短くはなりましたが、やはり、しばし待つ、という感じです。
それにこの外観は、もはやコンパクトデジタルカメラなどとは、絶対に呼ばれないでしょうね。
見た目よりは軽いですが、一般の方々が見たら、「なんだありゃ?」って感じでしょうか。
でも今回三脚に付けたまま、持ち運びましたので、これだとそんなに、変、ではない。
開き直って、「ワシはカメラマンなんじゃい!」という意気でいきたいと思います。
あとこのカメラを持つとしっかりした三脚が欲しくなりますね。
今回、神社の森の中は暗かったので、(雪でいつもよりは明るいけど)暗さに弱いこのカメラでは、どうしてもシャッタースピードを遅くするしかありませんので、ブレに気を使います。
セルフシャッターモードにして、息を止めてシャッターを押しますが、やはりブレのない三脚が欲しいです。
ああ、無限の物欲です。
人間の性じゃ。
長くなりましたが、最後にもう一つ弱点を暴露しときます。
今回の雪景色撮影で、朝日を浴びた線路がきれいだったので撮影したのですが、よく見ると中央の下あたりに、動物の足跡のような緑色の点々があります。
これが、Foveonセンサーの弱点のゴーストです。
そうゆうことで、まとめです。
シグマdp−0クワトロのいいところ
- Foveonセンサーで、驚異の描写力。
- 超広角で、周りを写し撮る。
- 超広角なのに、周辺部が歪まないので、ふつうの写真が撮れる。
- いってるデザイン。
- 多分こんなカメラはもう出てこない。
- 水平上下ゲージがかっこいい。
- クイックセットボタン、フォーカス切り替えボタンが便利。ユーザー目線。
- 思ったより軽い。
- 持つ喜びがある。
- 開き直ってカメラマン気分になれる。
シグマdp-0クアトロの悪いところ。残念なところ。
- 細部まで取り込むので、撮影後の処理に時間がかかる。データーを食う。
- 電池がもたない。予備は必携。
- 暗さに弱い。三脚はあったほうがいい。
- ビューファインダー越しのディスプレイは、期待していたほどそんなにきれいではない。
- ズームがないので、自分が動かないといけない。
- フラッシュもない。
- SDカードスロットの蓋がゴムなのは非常に残念。
- ピント合わせリングがつるつるすべる。ホールド感がない。手袋では無理。
- 超広角ゆえ、よけいなものまで写り込む。
- ディストーションゼロで、周辺部が歪まないので、超広角っぽい効果(そう今まで思わされてきただけなのかも知れないが。)が出ない。
- 強い光で、ゴーストが出る。
やっぱり弱点のほうが多いですね。予想どおりですが。(笑)
超広角が良い点と、悪い点の両方に、入りましたが、超広角、ディストーションゼロがメリット、デメリットの両方に状況次第で、振れるということです。
考えて見れば当たり前のことなのですが、たとえば、山のてっぺんのような所であれば、超広角であっても景色を捉えきれない。逆に接写して、中央のものだけ写そうとすれば、余計なものが入りやすくなる。
それは、今までの超広角レンズでも同じことですが、dp−0はもう一つ、ディストーションゼロという次元を手に入れた事で、超広角視野をふつうの写真のように撮る。という新しい次元を私達に与えてくれたのです。
その次元をどう使いこなすか?
シグマさんが意図したかどうかはわかりませんが、私たちは、まったく新しい無言の課題をdp−0クアトロから与えられているのです。
このカメラ一台だけで、何でも撮ろうというのは、よほどのベテランでもないと、キビシイと思います。
ですので、初めてデジタルカメラを買おうという人には、あまりおすすめ出来ません。
なにせズームがないので、撮りたいものに、自分が寄って行かねばならないので、遠かったら大変です。
それに超広角レンズなので、時には撮りたくないものも入ってしまいます。
また、近くまで寄って(最低焦点距離18センチ)撮れるので、接写のような事もできるのですが、やはり周りのものが写り込んでしまいます。超広角レンズゆえ、画面を整理するのがむずかしいです。
やはり、あまり細かいことは気にせず撮れるカメラが別にあったほうがいいですね。まあ今はスマホがありますからそれと掛け持ちで、なら良いかと。
このカメラの醍醐味は、息を止めてシャッターを切って、家に帰ってから、パソコンの大画面で、写してみて感動する、ところにあると思います。
ですので、ある程度、マニアックな面のある方に向いているカメラです。
そういうあなたなら、ぜひ今のうち(笑)買って仲間になって下さい。このカメラ奥が深すぎて一人ではとても・・・・
参考までに、私のシグマカメラの過去のお話を。
やっぱり初代のDPは、独特の暗い色あいが魅力的ですね。未だに使っています。軽いし、小さいし、さっと取り出せて撮影できるので、良いです。
処理に時間かかりますけど。
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