私は林業のプロではないのですが、家で薪ストーブを焚くために、薪が必要で、山で伐採した木を自宅で玉切りしたり、庭木を枝打ちする時、チェンソーを使います。
エンジンチェンソーは音が大きいので、ご近所さんに気を使います。そこでスチールのバッテリーチェンソーSTHIL,MSA160C-Bを購入して、使ってみました。
自宅の太めの立木を伐採して、玉切りにするのにバッテリーがどこまで持つか?パワーは十分か?
エンジン式チェンソーとくらべて音は静かか?を、レポートいたします。
ただし、あくまでシロートの立場としてのレビューですので、至らない点があるかと思います。何卒ご了承ください。
薪ストーブを焚くのでチェンソーは必需品だ
冬になると薪ストーブを焚いているのですが、薪づくりはけっこう大変です。
薪割りは楽しいです。しかしその前に丸太をストーブに入る長さに、玉切る作業が必要なのですが、これが問題。
玉切る、とはつまり、丸太を木目の直角方向に切断する行為で、その後、木目にそって縦方向に斧で割ると薪ストーブに入る薪になります。
直角方向に切断するのは、斧でもできない事はないですが、大変です。そこで、ノコギリを使います。
ノコは人力なので、腕の太さぐらいなら鼻歌ですが、太ももの太さになると、ハアハアとなりだし、胴体の太さになると、ちょっと勘弁してくれよ。と言いたくなります。
よく切れるノコで、木が生木でまだ柔らかければ、胴体ぐらいの太さでも切れないことはないですが、時間がかかります。
さてそこで、チェンソーの出番です。
「ブオン!」と、エンジンをかけて、「ギャイィィィィィィーーンン!」とやれば、胴体だろうが、太ももだろうが楽勝です。
気持ちいいぐらい。
「ハアハア」ともなりません。
なる人がいるかも知れませんが。わたしは大丈夫です。
しかーし!
ひとつ問題が。
あまりにうるさい。
うるさいんです。
切ってる本人は半分気持ちいいから、やや麻痺してますが、周りはたぶんいい迷惑。
絶対迷惑だと思います。
自慢じゃないが私のチェンソーはビンテージでうるさいぞ
なにせ私のチェンソーは、10世代ぐらい前の、ビンテージスチールチェンソー。
重くてうるさいが、パワーだけはすごいというシロモノ。
ビンテージ重低音サウンドが魅力的です。
騒音とか何も考えてなかった時代のやつなので、音のでかいことといったら感心するレベル。
これがもし、家族ならちょっとぐらいうるさくても。(ちょっとではないレベルだが)
「お父さん、寒がりの私のためにがんばってくれてるんだ。」
と、感謝の念こそ湧くでしょうが(多分)これが、近所のよく知らないおっさんだったら、ただもう、
「うるさい!
はよやめてくれんか、ああ?」
と言いたくなるんだと思います。(ああ?まではないと思いたい。)
なにせ私がチェンソーを使う自宅の庭、というか畑は3面とも、人家の壁が迫っており、いかにビンテージスチールチェンソーの音が魅力的重低音であろうとも、好みの違う人にとってはさぞかし迷惑でしょう。
まあそうゆう訳で、チェンソーの音で近所に気遣いの私なのです。
バッテリーチェンソーはいいことだらけ。だがまだまだ高くて手が出ない
さてそこで、最近、バッテリーチェンソーというものが出て来て、気になっているのです。
こいつはエンジン式と比べて、音が静かなのだそうで。
このバッテリーチェンソーならばご近所に気兼ねなく、薪の玉切りができるのではないだろうか?
それにバッテリー式なら、ガソリンがいらないので、わざわざ混合油を作る手間もいらなくなる。
正直なところ、年とともに体力が低下してきてるから、重くてうるさいチェンソーをブン回すのもきつい。
もし制御できない事態になったら、パワーがあるだけに大怪我の可能性も高くなる。
音が静かでガソリンもいらないのなら、節約にもなるし、いいんじゃなかろうか?バッテリーチェンソー。
それにもう一つ、大きなメリットだと私が思うのは、バッテリーチェンソーは始動がボタンひとつで済む点です。
エンジンチェンソーのように始動時にスターターのヒモを引いてエンジンをかけなくてもいいのです。
これは、チェンソーを使う作業者にとって、かなり大きなメリットです。
たとえば、本当はやったらいけないのですが、木を切る時、ハシゴに登って切ったり、木登りして切らざるを得ないケースがたまにあります。
大きな木の枝を切ったりする場合です。
そうゆう足場の悪い時、チェンソーのヒモを引っ張って始動するのはこわいです。
もし、引っ張った反動で、足がすべったらどうしよう?
それどころか、すべって落っこちたところにエンジンのかかったチェンソーが落ちて来たら、へたしたら死にます。
また、スターターを引っ張る始動方式では、しばらく使わなくていざ始動しようとした時、いっかなエンジンがかからず、汗だくになってヒモを引っ張り続け、結局かからなかった。という苦い経験もあります。
そうゆうことがバッテリーチェンソーなら解決できるはずです。
エンジンチェンソーと比べ、色々検討するうち、バッテリーチェンソーにかなり惹かれてきました。
しかしながらまだまだバッテリーチェンソーは値段が高い。
また、エンジン式チェンソーと比べて種類も少ないので、選択肢もあまりありません。中古品もまだタマ数自体が少ないので、あまり出回っていません。
チェックしていたヤフオクで掘り出しもののスチールバッテリーチェンソーを発見!
しかし、あきらめずに定期的にチェックしていたヤフオクで、バッテリー二個と、充電器、そしてもちろん本体のセットで、送料入れて44,827円の、スチールバッテリーチェンソー、STHIL MSA160C-Bの掘り出し物があったので、即落札しました。
新品価格ですと、セットで、7,8万するものです。
このバッテリーチェンソー、安めの値段設定にもかかわらず、だれも落札しませんでした。
なぜかというと、
まず、見た目が悪かったです。
要するに汚なかった。
(他人のオークションですので、画像はのせません。)
ボディの白い部分に、飛び散ったチェンソーオイルが付着したのでしょう。あちこち茶色になっていました。
そして、ガイドバー、ノコ刃の先端部分が、擦れて、白い塗装が剥がれていました。
私がオークションで入札時に注目したのはこの先端部です。
ノコ刃の先端部がこんなに擦れるような使い方は、プロの林業屋さんはしない筈です。
彫刻、カービングをするのならともかく、先端部を使うのは、キックバックのキケンがあるので、なるべくノコ刃の根本で切るのが安全です。
バーの擦れ方が、なんだか、ムリヤリ感が出ていました。
「研いでなくて、切れない刃で、むりやりこじって切ろうとしたな・・・」
と見ました。
それに何と、これも画像は載せられませんが、オークション出品の画像だというのに、ブレード、ガイドバーが上下逆に付いていたのです。
つまり、「STIHL」の文字が逆さまだったのです。
明らかにこれは、掘り出し物ハンターから見れば、
「フッ、シロートさんが使っていたな。」
とふふふ、となるケースです。
自分もシロートのくせにすいません。
届いた。本当にバッテリー二個付きで、掘り出し物だった。だが全然切れない
そして届きました!
バッテリー二個、ちゃんとついています。
(届いたあと、私が分解、清掃したあとの写真です。)
充電器は使用感がほとんどなく、ピカピカです。
さて、そして、あのブレードですが・・・・
(ブレードも取り外して清掃し、STIHLのロゴも逆さまになって取り付けられていたのを正常の向きにしました。)
擦れてます!先端部は焼付き気味で、色が変わっています。
そして、オイルがこびりついて、拭いてもとれません。
むりやり、熱を持つまで作業した証拠です。
試しに、着いたその日に、試し切りをしてみましたが、全然切れませんでした。
思ったとおりです。
刃を研ぐことをせずして、むりやり切ろうとしたのが、ブレードに現れています。
刃が摩耗して切れないので丸ヤスリを買って目立てをする
このままでは、使い物になりませんので、刃を研いでから仕切り直しです。
しかし、このチェンソーの刃は、通常より細くて小さいやつ(1/4”ピコマイクロ3チェーン)で、研ぐヤスリも、Φ3.2mmの丸ヤスリが適合します。
私は持っていませんでしたので、モノタロウに注文しました。ついでに目立てガイドも。
さて、届いたので目立てをします。
(補足。モノタロウで、ダイヤモンドヤスリを買ったのですが、なんだか全然手応えがなく、研げてる感じがしないので、ホムセンで、普通の鉄、鋼ヤスリを買い直しました。こっちのほうが断然いいです。無駄な買い物をしてしまった。)
1/4”ピコマイクロ3チェーンがついている。細い!
刃が細いですね。
この1/4”ピコマイクロ3チェーンは、軽量チェンソー用で、低キックバック、低振動だそうで、バッテリーチェンソーにぴったりです。
多分、負荷も少ないので、バッテリーのもちも向上してそうです。
バッテリーAP200と充電器AL300の裏面、型番。バッテリー外すとすごく軽い
バッテリーと、充電器の裏側、型番名です。
バッテリーを外して、残量表示ランプを点けたところ。
バッテリーを取るとすごく軽いです。まるで空の弁当箱。
右カバーを外すと簡単にノコ屑掃除ができて、すばらしい!
右側に付いている取っ手付きの、大きなノブを回してはずせば、このように右カバーがカパッと取れて、オイルまみれの木くず掃除が簡単にできます。
特別な道具もいらず、手で回せるのがいいです。
刃を交換する時など、方向を間違えないように、ガイドマークが付いています。
このへん、さすがスチールですね。私の評価もうなぎ登りです。
さて切ってみる!直径25センチぐらいは楽勝
さて、では実際に立木を切って、玉切りにしてみます!
ガソリンはいりませんが、チェンソーオイルはいります。残念ながら。
将来、摩擦抵抗の超少ないチェーンが発明されて、チェンソーオイルもいらなくなる日を夢見ましょう。
まあとにかく、チェンソーオイルを満タンにします。
さて、ガソリン代わりのバッテリーですが、
試しに、一個は半分充電、もう一個は満充電の状態で、切ってみます。
半分のほうから始めてみます。
どれぐらいもつでしょうか?
畑の角の、けっこう太めの木(多分エノキ)を切っています。
両角の向こうは、お隣さんです。
この木は去年、根本のところをぐるりとガソリンチェンソーで切り込みを入れて、立ち枯れさせてあります。
立木のまま枯れさせて、今年玉切りにする予定でした。
二股に分かれているところを切っていますが、今切っているところが、丁度ガイドバーの長さと同じぐらいです。あとで測ったら直径約25センチでした。
刃も研いだばかりなので、良く切れます。これぐらいの太さなら楽勝です。
肝心の音だが、うるさくはない。だが独特の「シュイーン」というモーター音ですごく静かでもない
気になる音ですが、エンジンチェンソーより、ずっとうるさくはないです。(ずっと静かです。とは言い難い。)
モーター音独特の「シュイーン」という音です。思ったより高めの音です。
エンジン式と比べると、ずっと静かですが、まったく近所迷惑にならない、というレベルではありません。
気にする人はうるさいと感じると思います。
エンジンチェンソーの「バリバリ」「ブオンブオン」という音とは全く違います。チェンソーで仕事してる、という感じがしません。
バッテリーチェンソーのいいところは、切っていない時、止めておけるので、その時は静かです。(当たり前か)
エンジンチェンソーだと、いちいち止めていては再始動が面倒なので、基本アイドリングでエンジンをかけていますので、切っていなくてもうるさいですね。
お隣さんが近いときはアイドリングでも音が気になります。
切れました。
けっこう太めでしたが、あっさりと切れました。
バッテリー表示は一個に減りました。
さらに切った幹を二回玉切りして、枝を落としたところで、半分だけ充電していたバッテリーは切れました。
切れる直前に、残った一個のランプが点滅するので、バッテリー切れがわかりやすいです。
満充電のバッテリーに交換してさらに切り進めます。
根本の、去年残しておいた芯部分を切ります。
一番太い部分だったので、ガイドバーが届かず、切りにくかったのですが、なんとか切り倒しました。
結局、切れたのはこんだけ
まだバッテリーは、残り3個の表示ですので、倒した幹を玉切りしていき、最後バッテリーが切れるまで、続けたところ、次のような結果となりました。
これだけ切ったところで、バッテリーが切れました。
正直なところ、なんだもう終わりかと、かなりがっかり。エンジンチェンソーならこれからというところ
片方のバッテリーが半分しか充電されてなかった、とはいえ、「え?もう終わり?」
というのが、正直なところです。
もう少しもってくれてもいいのではないか、と思いました。
木が太くて、乾燥して硬かったというのもあったかもしれません。
しかし、エンジンチェンソーなら、まだまだ今からでしょ、というレベル。
がっかりです。
結局のところ、このクラスのスチールのバッテリーチェンソーは、直径20センチくらいの木を、庭で玉切るくらいの軽作業向きということなのでしょう。
これではとてもではありませんが、山に持って行って木を何本か伐採しようとは思いません。
電気のない山中では、切れたバッテリーがお荷物になるだけです。
ガソリンを携行ボトルに入れて持って行ったほうがずっと軽い。
電気のある場所なら、切れたのを充電しつつ次々と作業できるでしょうが、山の中に電気が来てるところはなかなかありません。
将来、強力なモバイルバッテリーと、ソーラーパネルが手頃な価格で手に入るのを待つしかないです。
それに、もう一歩切り込みたい。というときの、押しのパワーがありません。
無理がきかないから、かえって安全かもしれませんが、作業を確実に終わらせるには、今ひとつ、いや2つ、みっつ、パワー不足を感じました。
そしてチェーンが細いやつなので、カッティングブレードも当然細い。細いので、摩耗しやすいのか、作業半分ぐらいで切れが悪くなりだし、最後はちょっと無理やりでした。
前所有者が、こじるような使い方をしていたのも、こうゆうわけか、と納得しました。
チェーンが細いのはバッテリーの負荷を減らすし、また、切り屑も細かくて少い点はいいのですが、太い木を切ったりと、能力以上のことをすると、摩耗しやすいようです。
さて、そうゆうことで、まとめです。
スチールバッテリーチェンソーのいいところ
- 音が静かである。(エンジン式と比べると。)
- スイッチひとつで始動するので、楽で安全。多少足場が悪くても安心できる。
- 刃が細いので、切り屑が少なく、抵抗も少ない。
- 右カバーを外して簡単に掃除ができる。
- 刃の交換時に向きを間違えないように、ガイドマークがついている。
- 当然ですが、ガソリンがいらない。チェンソーオイルはいります。
- アイドリングの必要がないので切っていないときは静か。
- バッテリーが切れる前にランプが点灯するので、バッテリー切れがわかりやすい。
スチールバッテリーチェンソーのわるいところ
- まだまだ価格が高い。
- パワー不足。
- バッテリーがかさばる。
- 刃が細いので、目立てにはそれに合う丸ヤスリが必要。
- 上と同じく、刃が細いので、無理をさせると早く摩耗して切れなくなる。
- 期待してたより早くバッテリーが切れる。
- 充電できない山中では使い物にならない。
最後に
さて?
私はスチールという、チェンソーではトップクラスのメーカーなので、パワーがあると思い込んでいたせいか、正直なところ、がっかりです。
今使っているエンジンのやつが、パワーがあるやつなので、なおさらなのかもしれません。
これではどこかに持って行ってガンガン使う、というのは無理でしょう。
山の中とかで追加充電ができないのでは、作業を終わらせる事ができません。
車のシガーソケットから、100Vを充電できるインバーターを持っていたらいいかもしれませんが。
結局のところ、私の使い方としては、自宅で玉切りや、枝打ちに使う、といったところでしょう。
コードがないので、その点は取り回しが楽です。
しかし、新品で7、8万出して買わなくてよかった。
4万も出せばエンジンチェンソーのけっこういいのが買えますからね。
まだまだ7,8万も出して買うレベルではないと思います。
しかし、安全性を重視するとか、ガソリンがいらないので、エコロジカルな目的で、買うのはいいと思います。
コードレス工具は、インパクトドライバーや、丸のこ、グラインダーなどは、けっこうプロがガンガン使えるレベルに達しているので、バッテリーチェンソーもそこそこ行くのでは?、と思っていましたが、ダメですね。
エンジンと比べて圧倒的にパワー不足。というのが正直な感想です。
将来に期待をかけて、この記事を終わります。
私は以前、スチール社製のヤスリを固定するやつを使っていたのですが、これだと一面しか研ぐ時使えず、ヤスリが片減りするおそれがあるので、いちいちネジをゆるめて、当たる面を変えながら研いでいました。またこのタイプは、ヤスリを交換する時も手間です。
メーカは違いますがこんなのですね。
龍宝丸目立てガイドは、その点、ガイドバーに差すだけなので、非常に楽です。
それに、プラスティック製で軽いので、持ち運びも苦になりません。
おすすめです。
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