実は、ずっと気になっているカメラがあるのです。
そのカメラの名は「シグマdp−0クワトロ」
あのシグマが作った超広角レンズと、Foveonの組み合わせで、どんな写真を撮れるのか?
悩んだ末、結局買ったのですが、その購入レビューは、こちら、シグマDP-0クアトロを値段調べて遂に買った。欠点もあるがそれもよし。をどうぞ。
とりあえず私のシグマカメラのなれそめから。
見よ!シグマdp−0クワトロの勇姿
見てください!変わった形のカメラです。
長いレンズは望遠レンズのように見えますが、14ミリと超広角レンズ。フィルムカメラで21ミリ相当の超広角レンズです。
そして後ろに付いている箱は、ビューファインダーといって、背面のディスプレイを拡大し、見やすくする効果があるようです。
もちろん、これなしでも買えるのですが、調べたところ、単体で買うよりも、合わせて買ったほうが、かなりお得なようでした。
シグマカメラとの最初の出会い
私が、シグマというちょっと変わったカメラメーカーを知ったのは、7,8年前になります。
その頃使っていた、キャノンのパワーショットというコンデジが画像に黒い点が写るようになり、買い替えを検討していたら、シグマというカメラメーカーに出会ってしまったのです。
それはシグマdp−1というカメラで、見た目は全く普通のコンデジで、むしろおもちゃのような小ささと外観、モニターディスプレイもハッキリ言って貧弱なものなのですが、その貧弱なディスプレイで、こちょこちょと半信半疑で撮って、家に帰って専用の現像ソフトで映し出してみると、実に驚異的な画像を叩き出すのです。
両方とも、朝焼け、夕焼け、という逆光で撮っているのですが、黒く潰れた田んぼや、木の肌あいが、現像するとちゃんと潰れず浮かび上がって来るのです。
まるで、白黒フィルムを自分で現像して、印画紙に焼き付けたような感じでした。
デジタルカメラで、ここまで描写し、空気感さえ醸し出すカメラ。
これが初代、シグマdp−1との出会いでした。
アマゾンなどで見てみると、2008年3月の発売開始の、古いおもちゃのようなコンデジにもかかわらず、まだ一万円以上します。もっとも当時の店頭販売価格が、99,800円とほぼ、10万円したカメラなのですが。
dpシリーズの進化。そしてdp−2Merrillを購入。
その後、dpシリーズは、dp−1s(2009年10月),dp−1x(2010年9月)とマイナーチェンジしていき、2012年に、シグマdpシリーズの驚異的独自的Foveonセンサーの開発者の一人であり、アーティストでもあった、故ディック・メリル(Dick Merrill/1949-2008)の名を冠した、dp−Merrillシリーズへと、モデルチェンジします。
dp−1の写りのすごさに惚れた私は、このdp−2Merrillを買いました。
どうせ買うなら、焦点距離の違うカメラにしようと思って、dp-1よりも焦点距離の長いレンズを持つ、dp-2Merrillにしたのです。
このカメラもいいカメラです。
dp-1はちょっと画像にクセがあるというか、なんかこう、暗い感じが似合う絵なのですが、dp-2Merrillは実に素直な絵で、明るさも感じさせるし、30ミリ(フィルムカメラ45ミリ相当)という、フィルムカメラの標準レンズに近いサイズで、とても撮りやすい。
しかもF値2.8と明るいので、暗さに弱いシグマのFoveonセンサーでも、多少の暗さは気になりません。
たとえば、届いた新品の斧の記念撮影など、普通のデジカメのように気楽に撮れてしまうのです。
このdp-2メリルもいい値段がしてますね。
発売当時は99.800円と、やはり、10万近いのですが、2012年発売と、古いカメラにもかかわらず、けっこうな価格がついています。
確かにいいカメラではありますけど。
でもなんかプレミアっぽい値段の付き方ではあります。せどりとかかな。
そして、ついに2014年、dpシリーズは大幅な、モデルチェンジをします。
dpクアトロの誕生です。
dpクワトロ誕生!
クアトロというのは、センサー構造に由来して、名付けられたようです。今回は人名ではなく、ただ単に数字の4の意味のようですね。
ただでさえ定評のあるFOVEONセンサーを、新開発しただけなく、今回は、従来からのコンデジっぽい外観も捨てて、かなり、いってるデザインになっています。
「もはや、コンデジは終わったんだぜ。」
とでも言い出しそうな独特のボディ。横幅が異様に長い。
こうゆうデザインにしたい。というより、こうゆうことになりました。
と機能を重視していった現場からの感じが漂います。
実はシグマdpシリーズは欠点多い
実際のところ、このシグマdpシリーズのカメラ、電池がすぐなくなるのです。
小さくて、見つからなくなる。というのではなく、デンキがすぐ切れる。
おまけに、普通のカメラとは違うセンサーを持つため、取り込む情報量もすごいらしく、SDカードがすぐ切れます。切れて怒り出すのではなく、いっぱいいっぱいになって降参です。
10ギガなんぞ、あっと言う間です。
そして、シャッターを押してから、画像をカメラが処理する時間がとてもかかる。
思わず「おーい、どしたー?」と呼びかけたくなるレベル。
次のシャッターがなかなか押せません。
おまけに、前も言いましたがディスプレイの貧弱さ。
写ったか写ってないか、確認できればいいレベルです。
メリルになって、少し良くなりはしましたが、dp−1はひどいかった。
おっと、つい惚れた弱みで、我慢していた愚痴がでたようです。
ですから、今回のクアトロは、そういう非難に対し、容量の大きなバッテリーを搭載し、処理能力を高める部品を詰めた結果なのだろうと思います。
期待が持てます。
Foveonセンサーってそもそもなんぞ?ベイヤーセンサーとの違いとは?
さて、そもそもFOVEONセンサーってなんぞ?
という問題なのですが、説明がめんどくさいので、いままで無視してきました。
皆さんの直感的理解力を期待してのことです。ご理解いただきたい。
ま、つまり、ほかのカメラとは違うのです。
車で言えば、マツダのロータリーと、普通のエンジンとの違いみたいな。
それに私が作った訳じゃなし、人が丹精込めて作った製品を私が自慢げに説明してもイヤミだし。
と、言うことで、すませよう、と思いましたが、この際なので私なりに、がんばって調べて、さらりと説明してみようと思います。
まあ、ウンチクはいいから、購入レポート見たい方は、とっとと後半へどうぞ。
そもそも、どうしてFoveonセンサーで撮ると、描写が細かく、空気感さえ感じさせる写真が出てくるのでしょう?
それは、センサー構造が全く違うからです。
一般のデジカメはベイヤーセンサーといって、光の強弱しか感知しないモノクロのセンサーなのです。
そのモノクロの光をカラーに変えるために、どうするか?といいますと、
まず、一つのピクセルが緑、青、赤、それぞれの単色を担当します。
担当割合は、RGBで言いますと、赤が25%グリーンが50%青が25%です。
なぜ、グリーン担当が多いんですか?
実は、人間の目は緑色に対する感度が一番いいんです。
ですから、緑色の情報を多く取り入れると解像力を高められるんです。
なるほど!そうなんですか、知りませんでした。
でも一人一色担当となると、一つの色の担当者は、ほかの2つの色のことはわからないんですよね?
たとえば、青担当のピクセルは、赤と緑の情報を取り込めない?
そうなんです。
ですから10万画素といっても、別々に担当するので、正味の10万画素ではない、と。
ははあ、ナンダカ損したような・・・
あはは、そんな感じがしますが、ここからリカバリーするんです!
青担当者は、自分が取り込めなかった色の情報が何としても欲しい。
それがないと、ちゃんとしたカラー写真になりませんからね。そこで、一定のアルゴリズムで、情報を補うのです。つまり、これぐらいであろう。と推察して、色情報を正味の10万画素にしてしまう。
ま、推察ですから、たまに偽色「False color!」が出てしまいますが。
急に英語で言わなくてもいいです。びっくりしますから。
で!一般のデジタルカメラがそうくるなら、その光の取り込みかた、そもそもがFoveonセンサーは、違うとか?ですよね?
まさか違うアルゴリズムを使うとか言いませんよね。
あるごりずむ・・・はもういいです。
そうです!Foveonセンサーは、光の三原色すべてを一つのピクセルが取り込みます。
RGBフィルターがセンサーの前面にあり、フィルターに垂直に、それぞれの色の波長に応じて通過してきた光情報は、すべて一つのピクセルに入ります。
ですから、「偽色!」は存在しえません。
なんか偽色に恨みでもあるんですか?
でも、たしかに昔のフィルム写真と比べて、デジタルの色はなんかわざとらしいな?と感じたことはありました。特に初期のころは。
そうなんです。
ですから、デジタルでは空気感は撮れない。という方もおられたのです。
しかし、Foveonセンサーは、光の微妙な中間色まで取り込みますから、しっとりとした感じが出ます。それに、この光の取り込み方は、カラーフィルムと同じなのです。ですからFoveonセンサーはフィルムライク(like!・・・)なセンサーと呼ばれたりします。
ふうむ・・・
今なにか英語ようなこと言われました?
いえいえ、お気のせいでわ。
つまり、センサーは写真にとって、とても大事なのですね。
センサーはフィルムなのです。ちなみに、この、Foveonセンサーや、カラーフィルムの垂直色分離方式よりも、白黒フィルムのほうが、正確さ、では勝っています。
なぜなら、白黒フィルムは光情報をフィルターを通さず、直接!(Directly!)取り込むからです。
ですから昔の写真が味がある。のはその辺が、見る人に伝わるからでないでしょうか。
当然ですが、ベイヤーセンサーと、Foveonセンサーの画像をモノクロ処理しても、伝わるものは違います。なぜなら、ベイヤーセンサーには偽(false・・・)
まあそうゆうことで、Foveonセンサーのだいたいのところは、おわかりいただけたかと。話出すとキリがないので、このへんで終わりにいたしますが、まだお聞きになりたいのでしたら、お食事などこのあといかがでしょう?
ありがとうございます。
もうお腹いっぱいですわ。
また楽しいお話聞かせてくださいね。
うーん、全然さらりとはいきませんでしたね。
やっぱり説明しだすと難しいです。
まあそうゆうことで、シグマdpクワトロシリーズの話に戻りますと、シグマは、いままでの、焦点距離の違う(ズームなしの単焦点レンズのみマウント)3機種のメリルシリーズから、クワトロシリーズに全てチェンジしました。
つまり、すべてあの形で、販売を開始し始めたのです。
コードネーム「ゼロ」の開発、そしてついに「dp0 Quattro」販売開始。
そして、2015年7月10日に、今までなかった超広角レンズをマウントしたdp−0の販売を開始したのです。
期待されつつも、なかなか出てこなかった理由は、シグマは今度はセンサーだけでなく、レンズにこだわったからです。
シグマが目指したのは、「ディストーションゼロ」
超広角レンズなら、必ずといっても出る、周辺部の広角らしい歪みを、ゼロにしようという。
つまり、周辺に写っているビルとかの直線が、グワっと曲がらず、真っ直ぐに写るレンズを開発しよう!という。ある意味無謀な。
しかし、dp−0の開発陣は、それを解消しました。
コードネーム「0」と名付けられたカメラは、「dp0 Quattro」の正式名が冠せられるまで、開放F値の明るさを決める開発陣の拮抗、レンズの前面から入った光をいかにしてまっすぐにするか?
という問題と向き合いながら、最終的に8群11枚というレンズ構成を採用し、レンズの前面から入った光を、何枚ものレンズを通過させながらゆっくりと曲げていき、反対側から出る時点で無理なくまっすぐにすることに成功したのです。(シグマインサイドストーリー dp−0)
結果、まるで望遠レンズのような鏡胴をもつ、異様な姿となりましたが。
そう、これが今から5年前。私はこのときから気になって、しょうがなかったのです。
しかしながら、欲しいけれど、どちらかと言えば、趣味性の強いカメラ。マニアックな面がかなりあります。
しかし、だからこその魅力。しかし、しかし、しかし・・・・
そして、ある時、私の頭に次のセリフが鳴り響き出しました。
「こんなキチガイじみたカメラ、もう今後二度と出てこないって!」
そうです、「今逃したら、もうチャンスはない!」オークションなどでもよくひっかかる魔法の言葉。
そして、とうとう私はシグマdp−0クアトロを買ってしまいました。
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